アイスランドの緑の革命:バイオマス発電の取り組みについて

アイスランドは、再生可能エネルギーの生産において、世界をリードする国の一つとして知られています。その中でも、バイオマス発電の取り組みに注目が集まっています。本記事では、アイスランドのバイオマス発電の実情や、その成功要因、さらなる可能性について深堀りしていきます。

アイスランドのエネルギー事情

アイスランドは、その地理的特性を活かした再生可能エネルギーの開発に注力しています。その結果、アイスランドの電力供給の約85%が再生可能エネルギーによるものとなっています[1]。その中でも、地熱エネルギーと水力エネルギーが大半を占めていますが、近年ではバイオマスエネルギーの利用も進んでいます。

バイオマスエネルギーとは

バイオマスエネルギーは、植物や動物の有機物質(バイオマス)をエネルギー源とするものです。これらのバイオマスは、太陽からのエネルギーを直接または間接的に蓄えており、それを燃焼やガス化などの方法でエネルギーとして利用します。

バイオマスエネルギーの利点

  • 再生可能: バイオマスは自然界に無尽蔵に存在し、適切な管理のもとで絶えず再生します。
  • CO2中和: バイオマスが成長する過程で吸収した二酸化炭素は、燃焼時に放出されますが、その量は成長時に吸収した量とほぼ同等であり、結果としてCO2排出量は中和されます。
  • 廃棄物の有効利用: 廃棄物や副産物をバイオマスとして利用することで、廃棄物の処分問題を解決し、同時にエネルギーを得ることができます。

アイスランドにおけるバイオマス発電の取り組み

木質バイオマスの利用

アイスランドでは、主に木質バイオマスがエネルギー源として利用されています。アイスランドの森林は小規模ながらも持続可能な森林管理が行われており、伐採された木材は燃料として利用されます。また、森林からの枝や葉、間伐材なども効率的に利用されています。

廃棄物の利用

また、アイスランドの漁業産業から生じる廃棄物もバイオマスエネルギーの源として利用されています。魚の内臓や骨、皮などの廃棄物はバイオガスとして利用され、発電に供されています。

アイスランドのバイオマス発電の成功要因

アイスランドのバイオマス発電が成功している理由は、以下の通りです。

  1. 持続可能な森林管理:アイスランドでは、森林の持続可能な管理が行われており、一定の木質バイオマスを確保できています。
  2. 廃棄物の有効利用:漁業産業からの廃棄物を有効に利用することで、エネルギーリソースとしてのバイオマスを確保しています。
  3. 政策の支援:アイスランド政府は、再生可能エネルギーの開発を積極的に支援しており、その一環としてバイオマス発電の推進も行っています。

アイスランドのバイオマス発電の将来性

アイスランドのバイオマス発電は、既に一定の成功を収めていますが、さらなる可能性があります。特に、微生物を用いたバイオガス製造技術の発展や、アルガン(海藻類)を利用したバイオマスエネルギーの研究が進められています。

微生物によるバイオガス製造

微生物を使用したバイオガス製造は、有機廃棄物を効率的にエネルギーに変換する方法として注目されています。アイスランドの研究機関では、この技術の開発に取り組んでいます。

アルガンによるバイオマスエネルギー

アルガンは、高い成長速度と大量のバイオマス生産能力を持つ海藻類で、バイオマスエネルギーの新たな源として注目されています。アイスランドでは、これらの海藻類を利用したエネルギー製造の研究が進められています。

まとめ

アイスランドのバイオマス発電の取り組みは、持続可能なエネルギー源の確保とCO2排出の削減という二つの大きな課題に対する解決策として、世界中から注目されています。さらなる技術開発とともに、バイオマス発電は今後もアイスランドのエネルギー戦略の重要な一部となるでしょう。

参考文献

  1. Orkustofnun (2018). Energy Statistics in Iceland 2018.